温熱療法がガン細胞を殺しガン組織を破壊することができる治療法であることは前述した通りですが、実際の医療現場では、温熱療法だけが単独で用いられることはほとんどありません。

なぜなら、温熱療法には即効性はありませんし、次に述べるように熱耐性の問題もあり治療の効率は決して高くないからです。

ガン細胞に熱を加えると、変性を起こして構造が変化しかかったタンパク質を元の構造に保とうとする熱ショックタンパクという修理屋のようなタンパク質が誘導されます。

この熱ショックタンパクが出ている間は、熱に対する耐性を持ってしまうため熱を加えても治療効果が得にくくなってしまいます。

通常、温熱療法を行った後、2〜3日は熱ショックタンパクによる耐性が続くことがわかっていますので、どんなに多くても週2回の治療が限度なのです。

そういったこともあって、温熱療法は抗ガン剤治療や放射線治療と組み合わせて使われることが多かったのです。

では、なぜ抗ガン剤治療や放射線治療に温熱療法を併用すると治療効果が上がるのでしょう。

ガン細胞は、高温や高酸素の環境で抗ガン剤や放射線に対する感受性が高まることが知られています。

温熱療法で身体を温めることで血流が良くなるとガン組織の温度と酸素濃度が上昇し抗ガン剤のガン細胞内への移行効率が上がったり放射線感受性が上がることで効きが良くなるというわけです。