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温熱療法による制御性Tリンパ球・制御性T細胞(Treg)の抑制

制御性Tリンパ球・制御性T細胞(Treg)は、自己抗原に対する過剰な免疫応答を制御する役割を担当しており、アレルギー・腫瘍免疫・感染症免疫に対し抑制的に働きます。がん患者さんは腫瘍が進行するとともに、制御性Tリンパ球・制御性T細胞(Treg)が増加し、攻撃担当細胞であるキラーTリンパ球やNK細胞などに抑制をかけ、その機能を弱らせてしまいます。そのため、免疫療法の治療効果を上げるには、この制御性Tリンパ球・制御性T細胞(Treg)をコントロールすることも必要となります。

近年では、温熱療法がこのTregの働きを抑えることができることもわかってきました。

 

制御性Tリンパ球・制御性T細胞の変換

制御性T細胞は、実はヘルパーTリンパ球・ヘルパーT細胞と親戚のような関係にあり、体の状況(サイトカイン環境)によって、互いに姿を変えることが分かっています。

例えば、「トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)」という物質が単独で作用すると制御性Tリンパ球・制御性T細胞が増えますが、症が起きた時に作られる「インターロイキン6(IL-6)」とTGF-βが一緒に作用すると、制御性Tリンパ球・制御性T細胞が17型ヘルパーTリンパ球・ヘルパーT細胞(Th17)に変化することが分かっています。

 

温熱療法(ハイパーサーミア)の免疫効果

「温熱療法(ハイパーサーミア)」は、体を温めることでがんを治療する方法の一つです。この治療法が免疫に良い影響を与えることが分かってきました。

以前から、がん細胞に熱を加えるとートショックプロテイン70(HSP70)という物質が分泌され、免疫を強くする効果があることが知られています。HSP70は、1型ヘルパーTリンパ球・ヘルパーT細胞(Th1)を増やし、がんを攻撃する効果を示します。

さらに、HSP70によって誘導されるインターロイキン6(IL-6)は、制御性Tリンパ球・制御性T細胞を17型ヘルパーTリンパ球・ヘルパーT細胞(Th17)に変える働きも持っています。

実際に、温熱療法を受けた患者さんの血液中では、インターロイキン6(IL-6)とインターロイキン17(IL-17)の量が増え、17型ヘルパーTリンパ球・ヘルパーT細胞(Th17)が増加し、逆に免疫を抑え込む制御性Tリンパ球・制御性T細胞(Treg)が減少することが確認されています。

 

まとめ

これらのことから、温熱療法による免疫効果は、HSP70が1型ヘルパーTリンパ球・ヘルパーT細胞(Th1)を誘導してがんを攻撃するだけでなく、HSP70が誘導するインターロイキン6(IL-6)制御性Tリンパ球・制御性T細胞(Treg)を17型ヘルパーTリンパ球・ヘルパーT細胞(Th17)に変換することで、制御性Tリンパ球・制御性T細胞(Treg)が減少し免疫抑制を解除し、がんへの攻撃力を高めていると考えられます。

 

 

温熱療法と免疫療法の相乗効果について

免疫のバランスが保たれている
正常な状態

免疫のバランスが崩れて
病気の状態

それぞれの働きについては、こちらの図を参照してください。 この図の場合は、がん免疫を高めて排除するのに重要なリンパ球であるTh1(1型ヘルパーTリンパ球・ヘルパーT細胞)が免疫を抑制する働きをもつTreg(制御性Tリンパ球・制御性T細胞)に強く抑制されてバランスが崩れ、がん免疫が低下しているのを表しています。

免疫細胞の活性化に必要なサイトカイン

健常人では、がんやウイルスに対しては、Th1(1型ヘルパーTリンパ球・ヘルパーT細胞)、寄生虫に対しては、Th2(2型ヘルパーTリンパ球・ヘルパーT細胞)、細菌に対してはTh17(17型ヘルパーTリンパ球・ヘルパーT細胞)が、固有のサイトカインと呼ばれる活性物質を分泌することで、各種の敵に対する攻撃細胞を活性化し、それぞれ一定の反応性を持ちながらバランスを保っています。
また過剰な反応を防ぐためTreg(制御性Tリンパ球・制御性T細胞)がそれぞれに抑制をかけることでもバランスを保っています。

ところが、この各種ヘルパーの反応性とTregの制御のバランスが崩れてしまうと、種々の病気の状態が引き起こされてしまいます。
例えばがんの場合は、Tregや他のヘルパーの影響でTh1の活性が低下してしまい、バランスを崩してしまっているのです。

このバランスを保つために免疫細胞を活躍させるにはサイトカインという活性物質で刺激することが必要です。

ではこのサイトカインの働きとは何でしょうか。

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