免疫療法は大きく分けて2種類ある
こんにちは。
横浜サトウクリニック
院長の佐藤忍です。
免疫療法にはさまざまな治療法が存在しますが、大きく分けると「非特異的免疫療法」と「特異的免疫療法」の2つに分類できます。
非特異的免疫療法とは、ガンの種類を問わず(非特異的)、患者さん自身の免疫力を高めることによって、ガン細胞をやっつけようというものです。
具体的には、患者さんが持っている樹状細胞やマクロファージといった、免疫細胞を活性化したり、崩れてしまった免疫のバランスを正常に戻したりすることで、ガン細胞に対する攻撃力を上げるというものです。
この非特異的免疫療法は、1970年代から研究されてきた歴史のある治療法で、サイトカイン療法やBRM療法、古くからある丸山ワクチンやハスミワクチンを使ったワクチン療法などがあります。
そして、当クリニックで行っている免疫監視療法もこちらに分類されます。
この非特異的免疫療法の最大の特徴は、いろいろな種類のガンに対して効果が期待できるということです。
一方、特異的免疫療法とは、特定(特異的)のガン細胞だけを狙い打つ治療法で、1990年の後半から始まったものです。
たとえば、血液中から見張り番であり司令官でもある樹状細胞を取り出し、そこに特定のガン細胞から取り出した固有のタンパク(抗原)を入れて培養すると、樹状細胞が活性化します。
その活性化した樹状細胞を体内に戻すことによって、特定のガンに対して反応する応援団や攻撃部隊がよりいっそう活性化し、特定のガン細胞をやっつけることができるといったメカニズムです。
ただし、この場合、特定のガン細胞には有効ですが、体内に別の種類のガン細胞があっ た場合は、まったく効かないということになります。
ガンペプチドワクチン療法や遺伝子療法は、特異的免疫療法に含まれます。
ほかにも、さまざまな方法で特定のガン細胞に対する攻撃力をアップさせる治療法が研究・実用化されており、抗ガン剤の分野においても、正常細胞は攻撃せずにガン細胞だけを攻撃する 「分子標的治療薬」の研究開発が進められています。
これらの薬剤の中には、免疫をコ ントロールするさまざまな作用を持った薬剤も開発されています。
たとえば、ガン細胞の表面に発現して、免疫細胞の攻撃力を低下させてしまう分子や、 制御性Tリンパ球の表面に発現している分子に作用して、ガン患者さんの免疫抑制状態を解除して本来の免疫力を発揮させるような薬剤も開発実用化されているのです。