闘う免疫を働かせるには応援団が必要!1)

こんにちは。

横浜サトウクリニック

院長の佐藤忍です。

 

免疫細胞には役割分担があり、第1段階の防衛網、自然免疫については前回お話しました。

 

第2段階の防衛網となる獲得免疫は、樹状細胞からの「抗原提示(情報伝達)」によって活動を開始します。

獲得免疫系の中で最初に情報を受け取るのは、「ナイーブヘルパーTリンパ球」という 免疫細胞です。

この細胞はいろいろな種類のヘルパーに変われる可能性のある細胞で、敵の種類によって、その敵に対応したヘルパー細胞に変化(「分化」という )します。

ちなみにヘルパーTリンパ球に、は少なくとも1型、2型、17型の3種類が存在することがわかっています。

また、ヘルパーとは反対に免疫を抑制する専門家の制御性Tリンパ球も存在します。

たとえば、敵がガン細胞やウィルスの場合、「ナイーブヘルパーTリンパ球」は「1型ヘルパーTリンパ球」に分化します。

このとき、分化を促進するインターロイキン12というサイトカインという活性物質が必要になるのですが、これは先ほどの樹状細胞が産生します。

次に、「1型ヘルパーTリンパ球」は、インターフェロンガンマやインターロイキン2と いった、兵隊を活性化させるサイトカインという物質を放出して兵隊たちを応援します。つまり、この「1型ヘルパーTリンパ球」は「応援団」というわけです。

 

そして、最後に兵隊であるナチュラルキラー細胞やキラーTリンパ球が活性化し、ガン細胞やウィルスを攻撃するという流れになります。

 

一方、寄生虫やアレルギーの場合、「ナイープヘルパーTリンパ球」は、傷害を受けた細胞たちから産生されるインターロイキン4などのサイトカイン刺激で、「2型ヘルパーTリンパ球」に分化します。

 

そして、「2型ヘルパーTリンパ球」がインターロイキン4を産生して、兵隊の好酸球や好塩基球を誘導、活性化し寄生虫を攻撃するという流れです。

また、細菌や真菌の場合、ナイーブヘルパーTリンパ球は、炎症細胞や傷害を受けた細胞から産生されるインターロイキン6やトランスフォーミンググロースファクターβ(TGF-β)の刺激により17型ヘルパーTリ ンパ球に分化して、インターロイキン17を産生するよう になります。

 

その結果、好中球などの顆粒球の誘導や炎症性サイトカインの産生を促進します。


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