病人冥利
2014.3.3 UP
病人冥利
M・Y さん(東京都)
■まさか私が
がんと告知された時の心境は、多分どなたもあまり大差がないかも知れない。
「まさか?やっぱり!なぜ私が?」
目の前が真っ暗になり、頭の中が真っ白になって、そして心はブルー。とてもカラフルだ。
不安が身体中を駆け巡り、ざわざわと落ち着きをなくす。
自分の意志とは関係なく、不本意なリタイアを迫られ、まるで人生の敗北者にされてしまう
ような、そんな感じでした。
六年前、ライフワークで環境保護に取り組んでいる主人と「ゴミを考える会」に参加した時のこと、奥様を乳がんから救ったという方が一冊の本をくださいました。
「奇跡のがん療法」(大野芳著 角川書店)という佐藤一英先生の免疫療法を紹介した本でした。
翌年知人のご主人が喉頭がんになり肺にも影が出て明後日手術を受けると聞き、その本を見
せたところ翌日すぐに横浜へ行き工夫先生の診察を受け、二回の治療で手術もせずに今日まで
お元気に過ごされています。
その時から「もしがんになったらすぐ横浜に行こうネ」と夫婦で決めていました。でも正直いって次が私の番とはトホホ・・・。
年の暮れ、会社の定期検査で「乳がんの疑いあり要再検査」年が明けて再検査の一週間後勤務先に電話が来た。
「検査の結果がでました。悪性でした。」
「えっ!!悪性といいますと?」
「がんです」
どうしよう?
がんになってしまった…。
「すぐ手術しましょう。今なら温存可能です。」
■佐藤免疫療法にかけて
二日後、私たち夫婦は、サトウクリニックで院長先生の前に座っていました。先生が四十分余りも時間をかけて詳しく説明をして下さったのに、私の頭にインプットされたのは次の言葉だけでした。
「大丈夫ですよ。私も温熱療法をしてもいいと思いますので、先に手術をしてきて下さい。そ
れから再発防止に免疫治療をしましょう。」
これで生きられる。父と兄と伯父をがんで亡くしている私でしたから。
この日は一回目の免疫治療を受けて帰宅した私は、早速、若くしてがんで逝った兄の娘二人に電話を入れ、「もう大丈夫ョ。きっと生きられる。来週手術を受けるから心配しないでネ」と涙ながらに伝えました。
両親ともいない姪二人には私が親代わり、そして子供のない私には娘同様の二人です。もしも私ががんで死んだら、祖父、父、叔母みんながんで亡くすことになります。
姪たちに恐怖を与えないよう、常々がんだけはならないようにと心掛けていた私でしたのに・・・。
一月二十一日手術。六人部屋で私以外は全員が再発、再々発の方ばかりの中、ともすれば恐
怖が頭をかすめる。
いつか私も再発するのでは?
でも、そんな不安を拭い去り私に勇気を与えてくれたのが免疫療法でした。私は免疫療法を受けるから再発しないんだと、自分の心に言い聞かせながら頑張れたのです。
■多くの支えを受けて
お陰様で術後は、心おだやかに、痛みもなく、明るく、元気に、よく食べよく寝て体重の増減もなし。院内では、折にふれ免疫療法の話をし「どこが悪いのですか?」と聞かれるほど快適な入院生活でした。
後で佐藤先生に報告すると「快適という言葉が出るぐらいならしっかり免疫が効くネ」と笑われてしまいました。
今回の私の病気のためにお世話になった佐藤先生をはじめ、両病院の先生やスタッフの方々、励ましのエールを欠かさずくれた友人、知人、そして支えてくれた姪と主人にこの誌面をお借りして、心ら感謝申し上げます。
皆様の親切と優しさを身体いっぱいに受けて、私は病人冥利につきました。
どうかこれからも私を見捨て?ないで、よろしくお願い致します。
■主人は<船橋一英会>の結成に向けて
主人はライフワークの拠点にしている船橋市で、ぜひ予防医学を進めたい。
そして将来<船橋一英会>なる後援会の結成を目指し、人と環境に優しい街づくりに努めたいと張り切っております。